9月 11, 2018

【理系就活講座】仕事選びにおける視野の広げ方

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「自分の専攻や研究分野を活かせる仕事をしたい」と考える理系学生は少なくありません。しかしながら、専門性を活かすことにこだわるあまり、仕事・会社選びで悩んでいる理系学生が多いのも事実です。

その要因のひとつは、メーカーの研究開発職や金融専門職のアクチュアリーといった、一部の人気求人における数少ない募集枠を多くの就活生で競い合うことになっているから。

当然ですが、競争倍率が高くなれば、内定を獲得するのはそれだけ難しくなります。就活を有利に進める方法のひとつは、自分が興味を持っていたり、専門性を活かしたいと考えている”キーワード”を中心に、視野を広げること。

今回は、“自動車”の商流を例にとって、仕事選びにおける視野の広げ方について説明します。

商流とは、商品の流れのことです。例えば、自動車はボディやタイヤ、ガラス、塗装、ライト、エンジンパーツなど細かい部品まで含めると、約4000種類、3万点もの部品から作られています。

でも、トヨタ自動車など自動車メーカーが、自動車部品を全て作っているわけではありませんよね。ボディはボディメーカーが、タイヤはタイヤメーカーが作って、自動車メーカーに販売しています。同様に、ボディメーカーにはボディを作るための鉄を、タイヤメーカーにはタイヤを作るためのゴムを販売している企業があります。

自動車(完成品)を作るのに必要な部品を中間財、中間財を作るのに必要な材料を原材料と言いますが、このように考えると、自動車と一言でいっても、原材料を採掘する資源・エネルギー系の企業も関係していますし、中間財を作る鉄鋼・機械系の企業も関係していることがお分かり頂けると思います。

企業同士の関係性が見えてくると、「自動車メーカーの業績が好調なのは、資源価格が下がっているから」、といったこともわかってきます。商流をとらえることで、企業の立ち位置や、どういう役割を担っているのか把握することが可能になるわけです。

以下では、より具体的に、自動車に興味を持っている機械系専攻の学生が活躍できるフィールドと、活かせる専門性について説明しています。

今回は、自動車に興味を持っている機械系専攻の学生を例にあげていますが、自動車以外のキーワード、機械系以外の専攻にも応用できる考え方なので、参考にしてください。

▽鉄鋼/機械

・鉄鋼関連企業は、鉄鉱石や石炭から鋳造や圧延といった工程を経ることで、厚版やコイルなど自動車や自動車部品に必要となる鋼材を製造しています。

・機械関連企業には、鋼材加工に必要な工作機械メーカーや工作機械で用いるドリルなどを扱う機械部品メーカーがあります。

活かせる専門性:機械力学、材料力学、熱力学、流体力学などの専門知識

▽資源/プラントエンジニアリング/海運/化学

・資源関連企業は、基盤や電子部品の素材となるガラスやセラミックスの原材料、また、プラスチックやゴムなど、塗料やタイヤの原材料となる原油の採掘をしています。

・プラントエンジニアリング関連企業は、原油を採掘するためのパイプラインや原油プラットフォームを建設しています。

・海運関連企業は、LNG輸送船や原油タンカーで天然ガス液化施設や原油輸出ターミナルから天然ガスや原油を電力会社やガス会社、石油精製所に運びます。

・化学関連企業は、運ばれてきた原油を蒸留することで、化学物質を抽出し、化学品や燃料を製造します。また、タイヤや塗料の原材料には、アブラヤシやトウモロコシから生成されるバイオエタノールなどが使われる場合もあります。

活かせる専門性:機械力学、材料力学、熱力学、流体力学などの専門知識

▽IT

メーカーにとって、原材料の調達から完成品の流通までの工程は、様々なプロセスが絡み合い、スケジュール調整や在庫管理は簡単ではありません。しかし、ITで情報を管理すれば、サプライチェーン(原材料・部品の調達から、製造、在庫管理、販売、配送までの製品の全体的な流れのこと)を一元管理し、在庫、輸送、配送の最適化を図れます。また最近は、ITを利用した自動運転車の研究開発も行われています。

活かせる専門性:生産ラインや業務プロセスに関する一連の知識やITに関する知識

▽金融(銀行、証券会社、保険会社)

企業の事業活動にはお金が不可欠です。商品を販売しても、販売代金を回収する前に別の支払があれば支払代金を用意する必要があり、銀行はこうした支払代金を一時的に肩代わりしたり、ATMや海外送金といった資金決済のインフラを提供しています。その他、M&Aには証券会社、製品を輸送する際の保険は保険会社が関係しています。最近では、自動運転車向けの保険やドライバーの運転パターンなど運転履歴で保険料率が変わるビッグデータを活用した新たな保険サービスも開発されています。

活かせる専門性:ものづくりに関する広範な知識や数理能力

▽卸売(商社)

自動車部品など特定の商品を専門に扱う専門商社のほか、自動車だけでなく機械部品や食料品など幅広く扱う総合商社があります。資源開発への出資から消費者に対する販売まで一貫して関わるのも、総合商社の特長です。

活かせる専門性:機械やインフラ、エネルギーなど機械全般に関する知識

▽コンサル/官公庁

・企業の中長期の経営戦略やM&Aなどの戦略立案はもちろん、IT、ブランド戦略、物流などコンサルが企業を支援する項目は多岐にわたります。時には複数の企業や業界団体、政府を巻き込んで国際競争力を高めるビジネスを展開するなど、既存の枠組みから飛び出した取り組みも行います。

・技術の進歩とともに法制度の改正も必要になります。近年は自動運転車が脚光を浴びていますが、現在の法律は自動運転を想定したものではないため、事故が起きた時の責任の所在の法制化や自動車メーカーの公道実験に関するガイドラインの作成などは官公庁の仕事。また、自動運転技術の国際標準化による権益保護なども重要なミッションです。

活かせる専門性:ものづくりに関する広範な知識や論理的思考力

まとめ

商流をとらえることで、自動車には様々な企業が関わっていること、また、理系学生の能力を活かせるフィールドが、自動車メーカー以外にも広がっていることがご理解頂けたのではないでしょうか。

ご紹介した考え方は、自動車に限った話ではなく、他のキーワードにも当てはめることができます。ですので、やりたいことが見つからない方は、まずは興味のあるキーワードや専門分野を起点に、一度、商流を調べてみてはいかがでしょうか。 



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